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疾患の説明:食道穿孔

食道穿孔は、その原因(特発性、異物誤嚥、医原性)、発症から診断までの時間、縦隔胸膜の穿破の有無などによって、その重症度が著しく異なってきます。つまり保存的治療で速やかに軽快するものから、緊急手術が必要であり重篤な縦隔炎や膿胸を併発して長期間の入院を余儀なくされたり、時には不幸な転帰をとることもある疾患です。

以下に特発性食道破裂と異物による食道穿孔について説明します。

(1)特発性食道破裂

特発性食道破裂(Boerhaave症候群)は、特別な疾患がないのに嘔吐による急激な食道内圧の上昇によって健常な食道壁に全層にわたる損傷が起きる重篤な疾患です。

自覚症状としては嘔吐直後の激烈な胸背部痛、上腹部痛、吐血、胸内苦悶、呼吸困難、ショック状態などですが、大量飲酒後や暴飲暴食後に発症する場合が多いです。食道X線造影検査、CT検査などで診断が確定されます。破裂の好発部位は下部食道左壁ですが、破裂が縦隔内に限局している場合と縦隔胸膜を穿破して胸腔内に達している場合があります。胸腔内に穿破した症例は縦隔内に限局している症例と異なり、縦隔膿瘍や膿胸、敗血症を併発することが多く、より重篤な病態となり適切な治療が行われないと死に至ることがあります。

治療の原則は外科的治療です。すなわち緊急手術が必要であり、開胸のうえ破裂部を縫合閉鎖し、胸腔内を洗浄しドレナージを行います。しかし、破裂が小さく縦隔内にとどまっていて、流出物による汚染が軽度の場合は保存的治療が可能な場合もあります。発症後できるだけ早期に診断し、それぞれの病態に応じた治療法を選択することが重要です。

これまでに40例の特発性食道破裂を治療しましたが、本邦では最も多くの症例を経験しています。この多くの治療経験に基づいて、適切な診断と治療を進めて行きます。

(2)異物誤嚥による食道穿孔

異物で食道穿孔を起こすものには、有鉤義歯、魚骨、PTP(Press-through-pack)包装薬剤などがあげられます。異物による直接的な損傷だけではなく、異物除去時に二次的に穿孔を起こす場合もあります。異物による穿孔部は他の原因に比べて小さいことが多く、また食道内に複数箇所の穿孔が生じている場合もあります。

診断は胸部レントゲン検査とCT検査を行い、異物の局在と食道穿孔の有無を確認します。続いて緊急内視鏡検査を施行し、異物を確認するとともに摘出を行います。この時、穿孔部をさらに損傷したり、新たな穿孔を作らないように注意しながら慎重に摘出します。一般的には保存的治療で軽快することが多いですが、内視鏡的な摘出が困難と判断した場合には、気管気管支や肺、大動脈などの損傷も危惧されることから外科的手術の適応となります。

食道グループの特色

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